ドリルを使う過程では生理食塩水を注水しつづけ、骨が摩擦熱をもたないようにします。
穴があいたら注水を止め、インプラントを回転しながら埋め込んでいきます。
インプラントを入れるときに水を注入しないのは、血液を洗い流さないためで、骨結合には血液が必要となるからです。
フィクスチャーを埋め込んだら、頭部にヒーリングキャップという部品を装着します。
最後に歯肉を縫い合わせて、手術は終了です。
手術の時間は、インプラントの本数によります。
1本なら15分、10本程度を入れる場合は1〜15時問くらいです。
長くても2〜3時問で完了し、その日のうちに食事をすることもできます。
手術後は、歯肉や頬が腫れる場合もあります。
内出血によって、頬や顎に赤紫色の斑がうっすらと出る人もいますが、プレッシャードレッシングというテーピングの応用で、軽減することができます。
最初はとても気になると思いますが、1週間もすれば自然ともとの状態に戻りますから安心してください。
手術後の痛みに関しては、個人差があります。
ほとんどなにも感じない人もいれば、ときには痛む人もいます。
痛みが強い場合は、痛み止めを飲めば抑えることができます。
術後の感染や炎症のピークは24時間以内ですので、1日たって問題がなければ安心です。
手術後何日間かは、抗生剤や炎症を抑える薬を服用していただきます。
骨との結合は、上顎の場合1〜3ヵ月、下顎ならば1〜2ヵ月ほど。
この期間に骨が治癒していき、インプラントとの結合が進むわけです(即時負荷のイミディエートで治療した場合は、その日のうちに仮の歯が入りますので入れ歯を使わずに食事することができます)。
骨との結合を待つ間には傷口のチェックのために数回通院していただきます。
7〜10日後には縫合した歯肉の抜糸を行います。
入れ歯や狩りの歯の調整で数回来院していただくこともありますが、その後は基本的に通院の必要はありません。
歯肉が治癒したら、治療用のヒーリングキャップを正式な上部構造(アバットメント)につけかえ、いよいよインプラント義歯をつくる段階に入ります。
補綴(失った肉体の1部を義歯などの人工物で補うこと)の各プロセスはそれぞれ1〜2週間ほどの時間が必要となります。
補綴すべてにかかる期問は、合計して約1〜2ヵ月程度です。
インプラントの補綴作業は、普通の入れ歯をつくる作業とほぼ同じですが、はるかに精密さを要求されるため、これだけの時間がかかるのです。
最終的にでき上がる歯の形に近い金属の土台、いわゆる骨組みのようなもの(メタルフレーム)を作業用模型のアバットメントに装着してみます。
きっちりとはまれば、実際に口のなかにつけてみます。
このメタルフレームにセラミックなどを焼き付けてインプラント義歯をつくるのですが、義歯になる前段階のものです。
金属フレームを使って、噛み合わせを調べます。
取りこんだ噛み合わせの状態に合わせて、上下の顎の模型を器械に固定します。
つまり、上下の顎の関係、噛み合わせも含めて、口のなかの環境が非常に精密に再現されるわけです。
でき上がった歯を使ってもらい、噛み合わせの不都合を調整していきます。
1〜2週間ほど様子をみて、噛み合わせが悪くて義歯が欠けたりしないか、土台に緩みがないかなどを観察します。
どうしても噛み合わせがしっくりいかない場合は、義歯を削るなどして調整します。
仮止めの間、すべての土台が緩まず、他にも問題がなければ、しっかりとしたセメントで義歯を合着します。
このようにインプラントの治療は、知識と経験が豊富な熟練したスペシャリストが術前に十分な治療計画を建て、緻密につくり上げていくのです。
インプラントを快適に使い続けていただくためには、定期的に検診を受けていただくとともに、患者様自身による毎日のメインテナンスが重要になってきます。
とはいえ、特別手間のかかることを毎日しなければならないというわけではありません。
基本的には、天然歯と同じように歯磨きをしてプラークコントロールをするだけです。
ブラシで歯を磨くだけではなく、歯と歯の間を掃除するデンタルフロスや歯問ブラシを使います。
プラークコントロールをしなければならないのは、インプラントでも歯槽膿漏と同じような症状を起こすことがあるからです。
天然歯より歯槽膿漏にかかる可能性は低いのですが、歯肉に炎症が起きて骨吸収を起こすとインプラントの骨結合に影響が出ることがあるので、プラークコントロールが重要なのです。
インプラントには神経が通っていませんから、異常を発見することが天然歯よりも遅れがちになります。
また、ネジの緩みなどは患者様には発見できません。
それらを見つけるためにも定期検診が必要です。
噛み合わせの調整が終わっても、最初の1年間はまだ骨が固まっていく過程にありますから、3〜4ヵ月ごとに定期検診を受けましょう。
検診では骨が順調についていく方向にあるかを調べるためにレントゲンを撮り、口のなかの衛生状態はどうか、噛み合わせはうまくいっているかなどを診察します。
1年目以降からは、インプラントに異常が起きることは非常に少なくなります。
ですから、年に1回の定期検診で結構です。
検診では、上部構造を取り外してアバットメントの状態をチェックし、掃除をします。
万が1、異常が発見されたら、すぐに処置を施します。
たとえばインプラント義歯が欠けてしまった場合には、取り外してその場で修理します。
歯肉炎を起こしている場合、怪度であれば、患者様が毎日のフラークコントロールをきちんと行うことで、少しの期間でもとに戻ります。
中等度の歯肉炎の場合は、天然歯と同じように歯石を除去し、インプラント義歯を取り外し、インプラントに付着した歯垢もきれいに掃除します。
光学顕微鏡で見ると骨と結合しているように見えますが、電子顕微鏡レベルで見ると骨とインプラントは結合していないのです。
チタンと骨の問にある酸化膜は何重もの層をなしています。
非常に薄い膜ですが、この膜がチタンを包んでいるおかげで、チタンが身体に流出することはありません。
アレルギー体質で、チタンに対しても不安を感じる方は、アレルギーの原因を調べるパッチテストを受けてみることをお勧めします。
どんな治療を受けるにせよ、安心して、納得して受けることが一番大切です。
皮膚科やアレルギー外来で相談してみましょう。
インプラントをとりまく環境によって変わります。
たとえば、上顎か、下顎か、インプラントを支える骨は十分に存在したのか、骨の移植をしたのか、噛み合わせの状態は悪くないのか等、数多くの条件によって寿命は影響されますので一概にはいえません。
また、生活習慣病の有無や身体的な状態、個人差などでも異なります。
過去の統計からみると、下顎は5年以上機能しているインプラントが97%、10年以上では90%で、上顎ではこれより少し下回ります。
インプラントは、虫歯になりませんが、インプラントを長持ちさせるためには、プラークコントロールなど患者様自身の口腔衛生管理が大切になります。
必ず歯科医院で定期健診を受け、インプラント周囲粘膜の炎症の有無、噛み合わせのチェックなどを受けることが重要です。
さらに心構えとして、何歳までもつかではなく、あなた自身が生涯もたせようとする努力が大切です。
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